氏神・お御堂・広間のある風景
気仙の景観を彩るものに、氏神様と持仏堂がある。いずれも屋敷内に祭ることから特に景観に配慮している。御神木、鳥居、石垣、路地植えなどで心和む演出がなされている。特に御堂(おみどう)建築は長安寺門徒の浄土真宗に限られていて、小寺院の如き荘厳さである。内作の宮殿、須弥壇(しゅみだん)、欄間の彫刻、透かし彫りなど、全て大工がまとめてしまう。仕事の領域が広いことも気仙大工の特徴と言えよう。
もう一つ、母屋に付属するものに広間がある。これは凝縮された茶室のようなミニ空間で、来訪者の接待などに使用されるいわば貴賓室である。ここには棟梁と主人の合意による、飽くことのない洗練された遊びの世界が展開されている。
持仏堂(おみどう)
長安寺門徒衆には、天保年間ころより仏壇を別棟に祀る風習が盛んであり、説教堂的な役割も果していた。この作風が気仙大工達の堂宮建築への憧れとなっていたことは、仏壇や神棚を見ることによってうかがえる。
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