草屋は日本の原風景
匠の里を隔てている気仙坂を下ると、江戸時代から取り残されたような茅葺屋根の民家に出会うだろう。彼らの先祖の多くは金堀り百姓としてこの地に定住し、狭隘(きょうあい)」な山畑に生活を委ねて生きてきた。家作に厳しい制約を受けながらもその土地で育った樹木を有効に使い分け、気候風土に合った丈夫で住みよい家を造ってきた。何の飾りも奢り(おごり)もないが、素朴な中にも構造上の工夫がなされ、木使いの妙が見いだされる。今では既に刈り取る茅場(かやば)も「結い」の定めも消滅し、トタンで覆われた屋根もあるが、まだまだ残しておきたい日本の原風景でもある。
隅扇垂木(おおぎたるき)
扇垂木とは寺社建築に見られる放射状に配した 垂木を言う。展開図を起こして上下が平行になる ように削られた手間のかかる仕事である。気仙地
方では一部民家にもその様式が取り入れられてい る。
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